インフルエンザ
インフルエンザとは
インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症です。風邪に比べて症状が重く、乳幼児や高齢者では重症化することもあります。
「インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」はどう違うの?
「インフルエンザ」とは、インフルエンザウイルスが体内で増えて、熱やのどの痛みなどの症状を引き起こす感染症です。
ほとんどの方は、一度かかるとその原因となったウイルスに対して抵抗する力が高まります。そのため、従来から流行している季節性インフルエンザに対しては、多くの人が免疫を持っています。
ところが「新型インフルエンザ」は、その前年までは一度も流行したことがないもので、新しいウイルスが原因、もしくは従来のウイルスの遺伝子が突然変異することによって発生します。
季節性インフルエンザと大きく構造が異なるために、多くの人が免疫を持っていないために、容易に感染が拡大して、多くの人の健康や経済に大きな影響を与えることになります。
症状
風邪と間違われやすいインフルエンザですが、風邪に比べて高熱が出て、のどの痛みだけでなく、関節痛や筋肉痛を伴います。
さらに風邪の場合ゆっくり症状が出てくるのに対して、インフルエンザは急激に症状が出てきます。症状が出る部位も局所的ではなく、全身に倦怠感が現れるのも特徴です。
潜伏期間は1~4日(平均2日)で多くの場合1週間程度で治りますが、乳幼児や高齢者、基礎疾患を持つ方の中には、肺炎を併発したり、基礎疾患の悪化を招く場合があります。
インフルエンザ | 風邪 | |
---|---|---|
症状 | 高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、せき、のどの痛み、鼻水など | のどの痛み、鼻水、鼻ずまり、くしゃみ、せき、発熱(高齢者では高熱でないこともある) |
発症 | 急激 | 比較的ゆっくり |
症状の部位 | 強い倦怠感など全身症状 | 鼻、のどなど局所的 |
かかってしまった時の対処法
インフルエンザと疑われるときは、安易に風邪と判断せずに早めに医療機関を受診し、治療を受けましょう。発症後48時間以内に抗ウイルス薬の服用・吸引をすれば、症状が軽減され、早く治ることが期待できます。(対象は1歳以上)
早めに治療することは自分の身体を守るだけではなく、ほかの人にインフルエンザをうつさないという意味でも重要です。
また、一般的には以下のような対処法があります。
- 安静にして休養を取る。特に睡眠が重要
- 部屋の温度や湿度を適切に保つ。(気温18〜20℃、湿度50〜60%程度)
- 水分を十分に補給する。(お茶、ジュース、スープ類など)
感染を拡大させないために
インフルエンザは、インフルエンザに感染している人の咳やくしゃみ、会話の時に空気中に拡散されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することで感染します。
感染の多くは、この「飛沫感染」によると考えられ、ドアノブなどの環境表面についたウイルスへの接触により、鼻や口などの粘膜や傷口などを通して感染する「接触感染」も成立します。
身近な感染対策でまず考えたいのは、家庭内にウイルスや細菌を持ち込まないこと。そのためには、帰宅してすぐのタイミング=玄関でしっかりと手指を殺菌・消毒することが重要です。
予防接種について
ワクチンを接種したからといって100%かからないということはありませんが、発症や重症化を防ぐためにも流行前にワクチン接種することは大切です。ただし、接種してからワクチンの効果が出るまで2週間ほどかかります。
また通常の流行期は1〜2月ですので、接種時期は12月上旬までが望ましいとされています。毎年流行シーズン前に接種しましょう。効果はおよそ5ヶ月ほどのため、流行期をカバーできます。
くまい医院では、毎年10月上旬からインフルエンザの予防接種を行っています。
予約、接種開始日、接種料金、高齢者への補助金等、詳しくは、医院スタッフにお尋ね下さい。
インフルエンザの治療薬
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)
タミフルという薬の名前を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?全世界で使用されている抗インフルエンザ薬です。A型・B型両方のインフルエンザの増殖を防ぐといわれており、37.5kg以下の幼小児にも使用可能な飲み薬です。副作用として下痢、腹痛、吐き気などが報告されています。
ザナミビル水和物(リレンザ)
リレンザはA型・B型両方に有効といわれている吸入薬です。粉薬を直接気道に届けることで、ウイルスの増殖を抑えることが期待できます。喘息など呼吸器に病気のある人は、気道に対する刺激になり喘息発作を誘発する可能性があるため注意が必要です。副作用として下痢、発疹、吐き気、蕁麻疹などが報告されています。
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル)
A型・B型インフルエンザに対する治療薬です。この薬は長時間作用型なので、1回使用するだけでいいというのが特徴の吸入薬です。喘息など呼吸器に病気のある人は、慎重に使用する必要がありますので、医師に相談するようにしましょう。副作用として、下痢、頭痛、吐き気、蕁麻疹などが報告されています。
ペラミビル(ラピアクタ)
ラピアクタはインフルエンザウイルスの増殖抑制効果が期待できる点滴です。吸入や内服ができない場合に選択肢となります。副作用として、下痢、吐き気、嘔吐などが報告されています。
アマンタジン塩酸塩(シンメトレル)
シンメトレルはA型インフルエンザに対して効果のある飲み薬です。この薬はノイラミニダーゼ阻害薬ではなく、A型インフルエンザウイルスに存在する蛋白構造に作用し、脱殻というウイルスの増殖工程を阻害することでウイルスの増殖を防ぎます。