特集記事

特集記事

子供に多い感染症

子供に多い感染症一覧

1.新型コロナウイルス(COVID-19)

原因

SARS-COV2

潜伏期間

1~5日 中央値約3日(最長)14日

症状

発熱や呼吸器症状が1週間以上続くことが多く、強いだるさ倦怠感を訴えることが多い。乾いた咳、のどの痛み、鼻づまり、下痢、味覚、臭覚の異常も報告されている。
罹患しても軽症で経過することもあり、初期症状は「インフルエンザ」や「感冒」に似ておりこの時期にこれらと新型コロナウイルスを区別することが困難である。
発熱等がある場合は、医療機関に電話で相談し、検査・診察を受ける。

感染経路

飛沫感染・接触感染といわれている。

登園・登校基準

発症後5日経過し、かつ解熱後1日経過していること。
重症度により排菌期間が長くなる。発症を検査にて確認し経過を把握している医師が診断にて登校、登園を認めた際。

2.インフルエンザ感染症

原因

インフルエンザウイルス A型としてA(H3N2)香港型、A(H1N1)ソ連型、A(H1N1)pdm型(パンデミック型)B型、C型があり、日常で問題となるのはA型およびB型である。

潜伏期間

1~4日 <A(H1N1)pdmではもう少し長い。>

症状

急な発熱、頭痛、咳、鼻水、のどの痛み、関節痛、筋肉痛(特に下肢)合併症として幼児では意識障害や痙攣が起こる脳炎・脳症が問題である。
その他肺炎や、解熱剤としてアスピリンを用いた時にライ症候群(脳症)を起こすことがあるとされている。抗インフルエンザ薬が有効のようだが、異常行動との関係が問題とされている。異常行動については10代の未成年者に多いと言われ、乳幼児では稀だが、患児の行動には注意が必要である。
異常行動については、抗インフルエンザ薬を使用していなくても起こるケースがあることも報告されている。

感染経路

主に飛沫感染。

登園・登校基準

発症後5日経過し、かつ解熱後2日経過していること。乳幼児に至っては3日経過していること。

3.流行性耳下腺炎(ムンプス・おたふくかぜ)

原因

ムンプスウイルス

潜伏期間

16~18日

症状

耳下腺、顎下腺等の唾液腺の有痛性の腫脹が特徴である。3~4日が最大。
7~10日続き酸味のものが痛みを増し、食欲不振、嚥下困難があり、発熱は必ずしも伴わず、片側だけあるいは一部の唾液腺の腫大だけで治癒することもある。

感染経路

飛沫感染・接触感染

合併症

難聴・腹痛を伴う膵炎。無菌性髄膜炎(頭痛・嘔吐の症状)思春期以降では男児に(副)睾丸炎、女児に卵巣炎を起こすことがある。

登園・登校基準

耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現後、5日経過し、かつ全身状態が良好になっていること。腫脹が消失するまで。

4.水痘

原因

水痘帯状疱疹ウイルス

潜伏期間

14~16日

症状

感冒様症状から赤い発疹が出現、体中に増加し、頭髪内にも出現すれば診断は容易となる。時間とともに変化し水疱となり最終的には痂皮(かさぶた)を形成する。
体中にこれらの段階の発疹が混在し、かゆみを伴う。口腔粘膜・目・性器にも発疹は出現し部位に細菌感染が無ければ痂皮が脱落した後、しばらく痕を残すが消失する。抗ウイルス剤が効果的で自然治癒する疾患でもある。抗ウイルス剤投与では5日ほどで回復する。
発熱は病状の程度に比例し、軽い場合は発熱しない。
稀に肺炎・脳炎・血小板減少が起こり、さらにステロイド内服中の児に感染すると重症化することがある。

感染経路

飛沫感染・接触感染・空気感染

合併症

発疹に細菌が付着して起こる二次感染がある。水疱をかきむしって化膿し、更にその細菌が全身に回ると敗血症を起こす可能性がある。
その他に、頻度は少ないが、ウイルスによる小脳炎を起こすことがある。

登園・登校基準

全ての発疹が痂皮化するまで。

水痘は一度罹患すると免疫がつくため基本的には2回以上かかることはない。
ただし、1回目が軽く済んだ場合などは、抗体が少なく再度水痘になる可能性がある。ワクチンを接種することで70%の予防が可能とされている。

5.アデノウイルス感染症
(咽頭結膜炎・流行性角結膜炎・咽頭炎滲出性扁桃炎・プール熱感染症胃腸炎)

原因

アデノウイルス。アデノウイルスには49種類の血清型があり、毎年あるいは1年に複数回感染することがある。

潜伏期間

2~14日

症状

従来は夏期に多いようだが、最近は季節に関わらず発症している。
高熱、喉の痛み、結膜の充血、首のリンパ節の腫脹。高熱が4~5日続く・嘔吐下痢を主症状とする感染性胃腸炎や、激しい腹痛を伴う腸重積を起こすことがある。年長児では出血性膀胱炎も発症する。

  • 咽頭結膜炎(これを<プール熱>と呼ぶことがある)
  • 滲出性扁桃炎
  • 流行性角結膜炎(角結膜の発赤・流涙・眼脂<黄色>・羞明など強い感染源)

感染力が強く飛沫感染が多いので、タオル・玩具・食器等共有は不可。
保育・看護する者の手指の消毒・おむつなどの取り扱いに注意する。

感染経路

飛沫感染・接触感染

登園・登校基準

主症状が消失した後、2日を経過していること。

6.百日咳

原因

百日咳菌

潜伏期間

7~10日

症状

咳などの感冒様症状で1~2週間続きその後激しい咳。特有な咳(コンコンとせき込んだ後、ヒューと言う笛を吹くような音を立て、息を吸うもの)が特徴で連続性・発作性の咳が長期に続く。
乳児では無呼吸や、脳症を起こして重症化し、死に至ることもある。全経過 は10週間前後続く。予防接種を受けていない乳幼児に感染の危険がある。乳児は一般的に入院の適応となる。

感染経路

飛沫感染・接触感染

登園・登校基準

特有の咳が消失し、抗生剤による治療が終了していること。

7.麻疹

原因

麻疹ウイルス

潜伏期間

10~12日

症状

発熱・咳・鼻水・目やに・結膜充血。発熱後4日頃より全身に赤い発疹が出る。発疹が出る前に口腔内に白い斑点(コブリック斑)が出現する。
一時解熱後発疹と再発熱がみられ、発疹は顔面・躯幹・四肢に出現し融合傾向がある。その後色素沈着を残して治癒する。
経過中の合併症として、呼吸状態が悪化する喉頭炎(クループ)肺炎、意識が低下して痙攣を伴う脳炎がある。

感染経路

空気感染

登園・登校基準

解熱後3日経過していること。

8.風疹

原因

風疹ウイルス

潜伏期間

16~18日

症状

元気がない、頸部リンパ節の腫大で発症し、顔から体の方へ下降性に広がる細かい発疹が特徴です。発熱、発疹、耳の後ろ、首、脇の下などが腫れる。咳、結膜の充血(白目が充血で赤くなる)。
リンパ節の腫れは首、耳の後ろの部位に目立つ。発疹は融合しない。
発熱は発疹出現前後からだが、発熱しないことも多い。
合併症として、脳炎・点状出血が起こる血小板減少症がある。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

発疹が全て消失していること

発熱を伴わないケースも多く、非流行期では臨床症状での確定は難しく、抗体の検査を行わないと分からない。
妊娠中の感染は胎児に先天性風疹症候群<妊娠4ヶ月以内に感染すると胎児に奇形が発生する症例>を起こすことがある。
妊娠が確定できない妊娠4週までは、先天奇形の出現率は85%と高い。
奇形は心臓・腹部臓器、神経、目を含む顔貌全般に及ぶ。
そのため妊娠の可能性のある人が保育・看護する場合は、充分な注意が必要。

9.髄膜炎菌性髄膜炎

原因

髄膜炎菌

潜伏期間

4日以内

症状

発症後12時間以内は発熱、頭痛、吐き気などの風邪に似た症状だが、発症から13~20時間頃には、皮下出血や発疹が出たり、息が苦しくなったり光を異常にまぶしく感じるなど、普段とは違った症状が起こり始める。そのままにしておくと、意識がなくなったり、痙攣を起こしたり、命に関わる状態になることがある。進行が大変早く、危険な感染症で、他の細菌と比べて100~1000倍の毒素を出すため進行が驚異的に早い。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

重篤な症状が改善して、全身状態が良好で、主治医の診断にて 許可された場合。

発症から2日で、意識を失ったり、痙攣を起こしたり、ショック症状を起こす場合があり、日本においても、発症の19%が死亡するという怖い感染症である。
病後、後遺症を発症するケースがほとんどで、早期の治療と、感染予防が必要。
始めは風邪の症状と似ているが、急激に重症化するので、病状の変化、経緯をしっかりと把握し危険要因を感じた場合は迅速に医師の診断を受ける。

10.結核

原因

結核菌

潜伏期間

3ヶ月~数十年

症状

初期は自覚症状なし。レントゲン撮影で発見されることが多い。主症状は咳だと思われがちだが、幼児は咳から始まることはほとんどなく、食欲がない、元気がない、体重減少、発熱などの症状が見られる。乳児は進行が早い。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

伝染の恐れがなくなり、全身状態が良好で、主治医の診断にて、許可された場合。
昔の病気だとみなされがちだが、集団感染が報告されている病である。

BCGの予防接種で予防できる。推奨年齢である生後3~6ヶ月遅くとも1歳までには受けることが望ましい。家族感染が多いため家族の健康管理が大切。

11.急性出血性結膜炎

原因

エンテロウイルス

潜伏期間

1~3日

症状

結膜出血。強い眼の痛み、きつい充血、異物感。目やに、まぶたの腫れ、目のむくみ、角膜の混濁等。6~12ヵ月後に手足の運動麻痺が起きることがある。感染する年齢は1~4歳に比較的に多く見られる。
家庭内ではできる限り接触を避けて、タオル・枕・目やにや涙で汚れそうな物の共有を避ける。入浴もシャワーのみで家庭内で最後に浴室を使う。

感染経路

飛沫感染・接触感染

登園・登校基準

伝染の恐れがなくなり、主治医の診断にて、許可された場合。
感染性が強く急性期は、病児保育には該当しないため回復期のみの保育である。

12.腸管出血性大腸菌感染症(O-157等)

原因

細菌(病原性大腸菌群、赤痢菌、サルモネラ属等)

潜伏期間

10時間~6日(O-157は主に3~4日)

症状

水様下痢便や腹痛、粘血便、血便、発熱、嘔吐、吐き気。下痢が主症状。
無症状の場合もある。
尿量が減ることで出血しやすくなり、意識障害を来す溶血性尿毒症症候群を合併し重症化する場合がある。

感染経路

糞口感染(便の中に排出されたウィルスが口の中に入って感染すること)、空気感染

登園・登校基準

医師より伝染の恐れがないと認められた時。無症状病原体保有者の場合、トイレでの排泄習慣が確立されている5歳以上の小児は出席停止の必要なし。5歳未満の子供については2回以上連続で便から菌が検出されなければ可能。

糞口感染が主なので、便の残留物やおむつの取り換えをする場所、嘔吐物の対策などをしっかりと行い管理することが重要。

13.ヘルパンギーナ

原因

エンテロウイルス群(コクサッキーウイルスA・Bエコーウイルスなど、多数のウイルスが存在する。

潜伏期間

3~6日

症状

突然の高熱(38~40℃)咽頭痛、経口摂取の低下。咽頭に赤い粘膜疹、水疱疹、潰瘍の順にできる。発熱は2日程度で4日を超えることは稀である。

感染経路

飛沫感染、糞口感染、接触感染

登園・登校基準

発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響が無く、食事が摂れること。

14.溶連菌感染症

原因

A群・β群溶血性レンサ球菌

潜伏期間

2~5日

症状

発病は急激で高熱、頭痛、咽頭痛、扁桃の腫脹、いちご舌。細かい紅斑が全身に広がることもあり、回復期には皮膚の落屑もおこる。全経過は2~3週間である。自然に症状が治まることもあるが、無治療、あるいは不十分の治療では、回復後腎臓に合併症(急性糸球体性腎炎)をおこすことがある。又リュウマチ熱、紫斑病等の疾患の原因ともなる。
迅速キッドがあり、その信頼性は高いとされている。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

抗菌薬内服後24~48時間が経過し治療が継続していること。症状が治まったかのようでも、一定期間の抗生剤の服用が重要。

発病後2週間目と、3週間目に尿検査をして、腎炎の発病の有無を確かめることが望ましい。家族感染が心配される場合は症状が出ていなくても予防のため抗生剤の投与を行うことがある

15.手足口病

原因

エンテロウイルス群。主にコクサッキーウイルスA、エンテロウイルスなど、多数のウイルスが存在する。

潜伏期間

3~6日

症状

手の平、足の裏の小さい水疱と、口内炎が主体。一部の患児には、四肢から臀部、躰幹にも出現することがある。口腔内にできていると痛みを伴い、経口摂取が、低下する。乳幼児ではお尻や、膝にできることもある。
脳炎、運動失調を合併することがある。

感染経路

飛沫感染(初期)

登園・登校基準

発熱や口腔内の水疱潰瘍の影響がなく、普段の食事が摂れること。

16.RSウイルス感染症

原因

RSウイルス(RSウイルスには血清型は2種類ある)

潜伏期間

4~6日

症状

冬季に多い感冒様症状を起こす代表的疾患。発熱、鼻水、咳、喘息。
乳幼児に初めて感染すると、呼吸困難や無呼吸発作など、重症化しやすい。
特に1歳未満児で、心疾患等の基礎疾患がある場合は生命の危険もある。
乳幼児期の感染ではその後に気管支喘息の発症が高まるといわれている。
流行時期がインフルエンザと重なると臨床症状から両者の鑑別が困難なことがある。迅速検査は入院患者以外に保険適応がなく使用は限られる。

感染経路

飛沫感染、接触感染

登園・登校基準

重篤な症状が消失し、全身状態が良好で、主治医の診断にて、許可された場合。

17.マイコプラズマ肺炎

原因

マイコプラズマ(細胞壁を持たない最小の細菌)

潜伏期間

2~3週間

症状

発熱、倦怠感、のどの痛み、上気道症状からはじまり、乾性の激しい咳が続き肺炎を引き起こす。全身状態は、発熱や、経過が長いわりには、深刻な悪化ではない。胸部レントゲンの陰影で分かることが多い。
無治療で経過している時期では感染力は強いが、適切な抗生剤(マクロライド系)を服用していれば数日で改善傾向となる。症状が改善傾向にあれば感染力は低下。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

発熱が無く、激しい咳が治まっていること。

18.伝染性紅斑(りんご病)

原因

パルボウイルスB19

潜伏期間

4~14日

症状

発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛等の、軽微な症状から始まる。そのため感冒と診断されていることが多く、両側頬・四肢伸側等にレース状の斑状紅斑が出現。発疹は2日程度から10日程続き自然に消退する。
一部の患児では、持続感染の形をとり1ヶ月以上発疹が、出現消退を繰り返す。

感染経路

飛沫感染、接触感染

登園・登校基準

全身状態が良好であること。発疹が出ていても可能。

持続感染および基礎疾患(血液疾患)がある場合は、貧血が出現する。
妊娠中の感染では、胎児に影響を与えることがある。(胎児水腫。胎児死亡)そのため、保育・看護にあたる者は注意が必要である。

19.ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルス等)

原因

ウイルス(ノロウイルス・ロタウイルス・アデノウイルス等)

潜伏期間

1~3日

症状

ウイルス性胃腸炎では、便が灰白色~白色に変化することがある。
特にロタウイルスでは白色便の出現が多い。脱水がひどくなる。ノロウイルスは複数の種類に分かれ1シーズンに繰り返すこともある。
抗体の防御能低く毎年感染する。
汚染されたオムツは密閉破棄する。使用したタオル等可能なものは破棄する必要がある。
再使用するものは塩素系消毒剤にて(0.02%溶液)しっかりと消毒を行う。アルコール消毒は有効ではない。糞口感染が主で、回復後も3週間以上に渡り便からウイルスが排出されるため、排便後の始末、手洗い消毒等、十分な注意と管理が必要。

感染経路

糞口感染。空気感染。(吐しゃ物、便等の残留物が、乾燥すると空気中に浮遊し空気感染を促す事となる。)

登園・登校基準

医師より伝染の恐れがないと認められた時。嘔吐・下痢の症状が治まり普段の食事が摂れること。

20.帯状疱疹

原因

水痘罹患後の水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化による。

潜伏期間

不明

症状

水痘罹患後もウイルスは神経節に存在し、生涯ヒトと共存する。ウイルスが再活性化(増殖し、病原性を獲得すること)すると、それぞれの神経支配部位に痛み、かゆみを伴う集簇した小水疱を形成する。
神経の走行に沿った形で身体の片側に発生することがある。小水疱はその後
痂皮化して治癒していく。治癒後も水疱出現部位に疼痛が残ることがある。
(ラムゼイ77ハント症候群)のように、耳介、外耳道に水疱ができ顔面神経痛やめまいが起こることもある。

感染経路

接触感染

登園・登校基準

全ての発疹が痂皮化するまで。

21.突発性発疹

原因

ヒトヘルペスウイルス6型(HHV6)
ヒトヘルペスウイルス7型(HHV7)

潜伏期間

9~10日

症状

発熱、咳等感冒様症状にて発症。しばしば下痢を伴い、3~5日間の発熱後、解熱前後に赤い発疹が出現して診断されることが多い。
多くの乳幼児が感染し熱性けいれんを引き起こすことがある。
6ヶ月~3歳までの発症が多い。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

解熱し機嫌がよく全身状態が良いこと。

突発性発疹は2回罹り、初回はHHV6。2回目がHHV7で、発疹が目立たないことがあり、2回目の突発性発疹は気づかれないこともある。

22.アタマジラミ症

原因

昆虫 しらみ

潜伏期間

10~30日産卵から孵化まで2週間

症状

アタマジラミの寄生により、頭髪部に掻痒感があるが、無症状のことも多い。毛髪にべったりつく卵。又は毛根部に成虫を確認することにより診断される。フケのようだが、指でつまんでも容易には動かず、適切な薬による駆除治療が必要。(0.4%フェノトリーンパウダー(シャンプー)<商品名スミスリン>) 2週間後に孵化する可能性があり、その頃に再度フェノトリーンパウダーで処理する必要がある。

感染経路

接触感染

登園・登校基準

駆除治療を始めていれば登園・登校は可能。

一緒に生活する家族にも注意し、予防を含めて駆除治療を行うことが望ましい。
リネン類の汚染が強く疑われる場合は、53.5度以上で5分間附置すると、消毒できる。

23.伝染性軟属腫(水イボ)

原因

ポックスウイルス

潜伏期間

2~7週 さらに長期の可能性がある。

症状

皮膚に比較的少数の小丘疹が集族する。1~5㎜程度の正常皮膚色~白~淡紅色の丘しん、しこりで、表面はつやがある。一見水疱にもみえる。四肢、体幹に多いが、顔・首・陰部等、様々な箇所に現れる。数個~数十個が集まる。
患部が広い場合外用薬で処置し、包帯、耐水性絆創膏等で覆い他者への感染を防ぐ。

感染経路

接触感染

登園・登校基準

登園・登校は可能。プールも可能だが、部位によってはこすれて水イボが破れて感染する可能性がある為、注意が必要である。

数が増えると痒みが増す傾向があるため、プールの季節の前に水イボの除去を行うことが望ましい。半年から1年で抗体ができて消える場合もある。

24.伝染性膿痂疹(とびひ)

原因

黄色ブドウ球菌・溶血連鎖球菌

潜伏期間

2~10日

症状

かゆみを伴う紅斑から水疱形成、あるいは黄色の分泌液が出てきて掻破と共に広がる。皮膚の傷や虫刺され跡、アトピー性皮膚炎などで弱っている肌の、掻いたところに順次に広がることより【とびひ】と呼ぶ。
掻破することにより容易に悪化して広がる。鼻腔に存在するブドウ球菌や、溶蓮菌が原因となることが多い。適切な抗生剤と、抗生剤軟膏を使用し、創部に痒みがなく痂皮化していれば、被覆する必要はない。

感染経路

飛沫感染・接触感染

登園・登校基準

皮しんが、乾燥しているか、浸潤部位が被覆できる程度であれば登園、登校が可能。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群は、乳幼児でブドウ球菌の皮膚感染により身体の多くの部分が発赤し、皮膚の剥奪がおこる疾病である。症状の程度により入院となることがある。原因自体は黄色ブドウ球菌の為、病状経過を注意深く行い、熱傷様の所見がある際は、早めの対処が必要である。

25.クループ症候群

原因

パラインフルエンザウイルスなど

潜伏期間

1~7日

症状

発熱やのどの痛みと同時に感冒様症状から、声のかすれ、オットセイの声のような(犬が吠えるような)ケンケンという咳が段々激しくなる。夜間に悪化することが多く、呼吸困難になることもある。
咳症状が激しいうちは、呼吸が少しでも楽にできる体勢に心がける。室内の加湿も有効。

感染経路

飛沫感染・接触感染

登園・登校基準

日中咳症状が治まっていても、夜間就寝時になると症状が出ることが多い為、終日を通して咳症状が消失し、全身状態が良くなれば登園登校が可能。

26.上気道炎、感冒(症候群)

原因

コロナウイルス、メタモニュウモウイルス、ライノウイルス等

潜伏期間

2~4日

症状

上気道炎、感冒は上記のウイルス以外にも多くのウイルスや細菌によってもたらされる。発熱、鼻汁、鼻閉、咳、咽頭痛など、あるいは重なった症状が特徴。ウイルスによっては下痢や、嘔吐を引き起こすこともある。症状は長引いても1週間程度で回復する。

感染経路

飛沫感染

登園・登校基準

症状が改善し、全身状態が良くなれば登園、登校が可能

27.ヘルペス性(歯肉)口内炎

原因

単純ヘルペスウイルス

潜伏期間

5~10日

症状

高熱が数日続き歯茎が赤くはれ、解熱とともに口角や舌先、頬の内側や、歯茎に中央が白く、輪郭がピンク色をした口内炎ができる。強い痛みのため食べられなくなり、よだれが増える。ひどいときは、水分も飲めなくなり脱水症になることもある。口の中の腫れや痛みが1週間近く続くため、不機嫌になることが多い。抗ウイルス剤の服用で症状が軽くなる。
経口摂取が困難になるため、刺激の強い食事、熱い物、酸っぱい物を避け、できるだけ楽に食事が摂れるよう配慮する。よだれを介して感染の恐れがあるため、兄弟姉妹がいる場合等は他の子供に触れないように注意する。

感染経路

接触感染

登園・登校基準

症状が改善し、食事を普通にとれるようになり、全身状態が良ければ登園、登校が可能。

28.ヒトメタニューモウイルス感染症(hMPX)

原因

ヒトメタニューモウイルス

潜伏期間

4~6日

症状

3月~6月に流行することが多い。発熱、鼻水、咳、喘息などRSウイルス感染症と似た症状がみられる。
乳幼児に初めて感染すると、呼吸困難や合併症など、重症化しやすい。
特に1歳未満児は重症化するケースが多く、細気管支炎、喘息様気管支炎,肺炎を発症し呼吸困難になり入院する場合がみられる。乳幼児期の感染ではその後に気管支喘息の発症が高まるといわれている。
2013年から鼻腔検査が可能になり、比較的迅速に判明するようになった。
2歳以下の乳児と同時に保育する場合は、玩具などによる接触感染が最もリスクが高いと言われている。兄弟姉妹がいる場合、玩具等の扱いに注意が必要である。

感染経路

飛沫感染、接触感染

登園・登校基準

重篤な症状が消失し、全身状態が良好で、主治医の診断にて、許可された場合。

乳幼児の重症化が懸念される疾病である。1回の感染で充分な終生免疫が付かない為何度でもかかる可能性がある。検査なく気管支症状が急速に重症化していく場合は、注意深い経過観察が重要で、入院施設のある病院にて検査をする必要がある。

29.ポリオ生ワクチン接種後の下痢

原因

ポリオ生ワクチンに含まれるポリオウイルス1型、2型、3型

症状

現在日本ではポリオ感染者はいないが、問題となるのは、ポリオ生ワクチン接種後の感染。接種者の内5~4%に下痢が出現し、ウイルスが排泄される。感染は、生ワクチンを接種された児に発症(VAPP:ポリオワクチン関連麻痺)あるいは接種を受けた後の便から他者へ感染することがある。
生ワクチン接種後数週間、ウイルスは排泄される。特に下痢の時は危険である。便の処理は感染性胃腸炎と同様で処置には十分な注意が必要。

感染経路

糞口感染

登園・登校基準

症状が改善し、食事を普通にとれるようになり、全身状態が良ければ登園、登校が可能

30.ウイルスキャリア

原因

B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスATLウイルス、(成人T細胞型ウイルス、)HIV(ヒト免疫不全ウイルス)等

症状

キャリアの状態ではほとんど感染は問題とならない。

感染経路

輸血。 ATLウイルスでは、キャリアである母親からの母乳により感染するといわれている。

登園・登校基準

主な疾病の症状が改善し全身状態が良ければ可能。

令和4年10月編集(令和5年5月一部改定)

【参考資料】
厚生労働省(保育所における感染症対策ガイドライン)
日本保育園保険協議会(保育園における感染症の手引き)
文部科学省(学校において予防すべき 感染症の解説)
こども家庭庁(保育所における感染症対策ガイドライン)