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栄養相談・栄養指導

食事療法Q&A

食事療法のポイントや、よくある質問について、Q&Aで紹介しています。
気になる質問をクリックして下さい。

糖尿病

Q1:一日のエネルギー量を計算する方法を教えて下さい。

A1:一日に必要なエネルギーは身長、体重、性別、労働量、合併症の有無やそれらの程度によって違ってきます。これを正確に知るためには医師の指示を受けることが基本となりますが、簡易的な方法としては次の通りです。まず自分の標準体重と体格指数を計算します。

標準体重 (kg) =身長 (m) ×身長 (m) ×22

BMI(Body Mass Index)はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
子供には別の指数が存在しますが、成人ではBMIが国際的な指標として用いられています。
健康を維持するためは日頃からBMIを把握することが重要です。

BMI = 体重kg ÷ (身長m)÷(身長m)

判定基準

BMIの計算式は世界共通ですが、肥満の判定基準は国により異なります。

成人
日本肥満学会の判定基準
BMI値 判定
18.5未満 低体重(痩せ型)
18.5〜25未満 普通体重
25〜30未満 肥満(1度)
30〜35未満 肥満(2度)
35〜40未満 肥満(3度)
40以上 肥満(4度)
世界保健機関(WHO)の判定基準
BMI値 判定
16未満 痩せすぎ
16.00〜16.99以下 痩せ
17.00〜18.49以下 痩せぎみ
18.50〜24.99以下 普通体重
25.00〜29.99以下 前肥満
30.00〜34.99以下 肥満(1度)
35.00〜39.99以下 肥満(2度)
40.00以上 肥満(3度)

次に下記の表から自分の労働量を考えた体重1kgあたりに必要なエネルギー量を調べます。

表:身体活動量(体重1kgに必要なエネルギー)
安静臥床 一日中ほとんど寝たきり安静を指示されている高齢者 20kcal
室内起居 糖尿病のコントロールが悪い場合や無職の隠居者。
主として自分の部屋だけでの生活者
25kcal
軽労働 サラリーマンや主婦、教師、店員、工員、運転手など、ほとんどの日本人が該当 30kcal
中等労働 農繁期の農夫、操業中の漁師、山林業、オートメーション化されていない工場員 35kcal
重労働 線路工夫、大工、左官、とび職など 40kcal

最後に始めに計算した標準体重に自分に当てはまる身体活動量(体重1㎏あたりに必要なエネルギー)
を乗じ1日に必要なエネルギー量を算出します。
※BMI=25以上の方は軽労作のエネルギーを目安にします。
1日に必要なエネルギー量=標準体重×身体活動量(体重1㎏あたりに必要なエネルギー)

Q2:一日1600kcalに制限していますが、1600kcalの範囲内であれば、おかずを減らし、ごはんをたくさん食べてもいいですか?

A2:1日1600kcalと1日のエネルギー量を制限されている中で、自分の嗜好で食品を選んでいると栄養的なバランスが悪くなります。食事療法の基本はまずはバランスのよい食事です。摂取カロリーさえ守っていたらよいという考えではなく決められたエネルギー量内でいかに栄養のバランスをとっていくかが、食事療法が上手にいく秘訣です。自分は糖尿病だからごはんは半膳しか食べないとか、油は一切使わないなど、極端な制限や1日に摂取してもよいエネルギー量内なので、食事は少しにしてお菓子を食べたり、ごはんを2膳食べたいのでおかずを減らしたりするなど、栄養のバランスが悪い食べ方もやめましょう。
栄養のバランスやカロリーなどを知る目安として糖尿病の交換表をお薦めします。

日本糖尿病学会編:糖尿病食事療法のための食品交換表、日本糖尿病協会・文光堂

Q3:甘いものが大好きでなかなかやめられません。どうしたらよいでしょうか?

A3:菓子やジュースの中には血糖値を急激に上昇させる砂糖やブドウ糖・果糖が多く使われています。
これらを制限せずに毎日食べていたらなかなか血糖値のコントロールはうまくいきません。できるだけ減らす努力をしましょう。

がんばって食べるのを我慢していても好きなものはどうしても食べたくなるときがあります。このようなときは量を決めてその時だけにしましょう。

また、果物や果汁100%のジュースであればお菓子とはちがうのでいいだろうと思われる方がいらっしゃいますが、これらも摂りすぎはよくありませんので気をつけましょう。
果物の量なども糖尿病の交換表で確認するとよいでしょう。

Q4:仕事上、外食が多くなりがちです。気をつける点を教えて下さい。

A4:外食で栄養のバランスを考えるのは非常に難しいと思いますが、少しの心がけで栄養のバランスもよくなってきます。外食で気をつけなければいけないことは自分の嗜好だけでメニューを選択しないということです。

外食となるとカロリーや栄養のバランスなどは全然考えず、自分の食べたいメニューを選んでしまいがちです。
メニューを選ぶ時にはできたら必ず、肉・卵・魚・豆腐などタンパク質を多く含む食品と野菜が入っているかを意識しながら選択してください。迷ったときは、焼魚定食、刺身定食、鍋焼きうどん、肉野菜炒め定食など多種類の材料を使用してある料理を選ぶようにしましょう。もしどうしても定食がない場合はサラダや牛乳など別で補い、カロリーの高そうなものは少し残す勇気を持ちましょう。

Q5:野菜は1日どれ位とればよいのですか?

A5:基本的な量としては1日に野菜全体で350g、内訳として緑黄色野菜120g、淡色野菜230gです。量を測るのは大変だと思いますので概量としては、1日350gの野菜では生野菜で両手3杯分、ゆで野菜で片手3杯分の量に例えられます。1食分の目安として生野菜なら両手に一杯、ゆで野菜なら片手に軽く一杯です。
野菜を多く取ることは大切ですが、野菜を多く取るためにドレッシングやマヨネーズ、油などを多く使ったりしないように気をつけましょう。
また野菜といってもかぼちゃ、ジャガイモ、豆(大豆以外)、レンコンなどはあまり取り過ぎないように注意してください。

高脂血症

Q1:コレステロールが高いのですが、食事で気を付けることは?

A1:基本的には、

  1. 一番大切なことは体重のコントロールです。自分の体重で適性であるかどうかもう一度確認してみてください。(標準体重の計算の仕方は『糖尿病-Q1』にあります。参考にして下さい。)
    肥満がある方は減量してください。
  2. 油脂の種類も考えてとります。油脂のとり過ぎも気をつけなければいけませんが動物性脂肪は控えめにし、動物性脂肪(魚の油は除く)と植物性脂肪の割合を1:2が理想と言われています。さらに植物性の油ではオリーブ油やアマニ油なども取り入れていただきたいです。
  3. 動物性脂肪(牛肉や豚肉の脂身、鶏肉の皮、バター)など飽和脂肪酸を多く含む食品は極力控えます。加工食品の中にも多く含まれますので注意が必要です。
  4. 野菜や海藻など食物繊維を多く摂取します。
  5. 豆腐や納豆のなどの大豆製品を積極的に取り入れます。
Q2:中性脂肪がなかなか下がりません。食事療法の要点を教えて下さい。

A2:要点を6つにまとめました。

  1. 体重のコントロールをします。自分の体重が適性であるかもう一度確認してみてください。(標準体重の計算の仕方は『糖尿病-Q1』にあります。参考にして下さい。)肥満がある方は減量してください。
  2. 食事中の砂糖の量を控えます。1日10gまでに。
  3. 砂糖やブドウ糖、果糖がたくさん使っている菓子やジュースは控えます。
  4. 果物も1日100gまでにしましょう。(目安量:りんご小半分、みかん小3つ)
  5. 夕食偏重の食事をやめ、夕食はできるだけヘルシーにして就寝の3時間前までに終えるようにします。
  6. アルコールの量も控えめにします。1日あたりのアルコール量の摂取目安は20~25gで、ビール500㎖、日本酒1合、焼酎35度・70㎖です。最低週1回は休肝日を作ります。
Q3:アルコールはやめなければいけませんか?

A3:アルコールが原因で中性脂肪が高くなった場合は、アルコールを制限しなければなりません。
特に中性脂肪が1000mg/㎗を越えるような方は禁酒にしましょう。
酒の種類でウイスキーなどの蒸留酒ならいいのではと思われているかもしれませんが、アルコールが原因の場合はエチルアルコールが肝臓に作用して高くなるので、種類によって飲んでいいのではなく、どんな種類であれ自分に合った量にします。

Q4:抗酸化成分が体に良いと言われますが、どのような食品でとったらよいですか?

A4:サラダオイルや魚に多く含まれる多価不飽和脂肪酸の酸化を抑え、酸化生成分の過酸化脂質による動脈硬化や老化の促進を制御するために抗酸化作用のあるビタミンや抗酸化物質を含む食品をとるとよいと言われています。
抗酸化作用のあるビタミンにはビタミンE、ビタミンC、β-カロチンがあります。
ビタミンEは脂溶性ビタミンであり、かぼちゃ、アボガド、アーモンドに多く含まれ、ビタミンCは野菜や果物に多く含まれます。β-カロチンは緑黄色野菜に多く含まれます。しかし吸収率が悪いので吸収率をよくするために油を一緒に使って調理することをおすすめします。
その他、抗酸化成分には緑茶に含まれるカテキン、ゴマにはセサミン、大豆にはイソフラボン、トマトにはリコピン、ウーロン茶やワインにはポリフェノール類などがあります。
しかし、抗酸化成分を多くとらなくてはいけないからとひとつの食品を多量にとるのは禁物です。自分の体に合った食べ方をしましょう。

Q5:食物繊維がよいと聞きますが、どのような食品でとったらよいのでしょうか?

A5:食物繊維には動脈硬化予防や高血圧予防、血糖値上昇抑制などに効果がある水溶性のものと便秘や大腸ガン予防に効果のある不溶性の2種類に分けられます。
高脂血症の方は果物、きのこ、こんにゃく、海草に多く含まれる水溶性の食物繊維を意識してとることをおすすめします。但し、調理上で油や砂糖を多く使ってしまったら効果は半減です。
また果物がよいからといってたくさん食べてしまったら逆効果になるのでくれぐれも量には気を付けてください。

高血圧

Q1:血圧が高いのですが、食事で気をつけることを教えて下さい。

A1:高血圧の食事療法の基本を5つにまとめました。

  1. 大切なことは自分の体重が適性体重であるかもう一度チェックしてみてください。(標準体重の計算の仕方は『糖尿病-Q1』にあります。参考にして下さい。)肥満がある方は減量してください。
  2. 減塩を心がけ、1日6gまでに塩分摂取を抑えましょう。
  3. アルコールの取りすぎに注意しましょう。アルコールは血管拡張作用があり、酔っているときには降圧しますが、酔いがさめた後、上昇するので気をつけましょう。
  4. カリウム、マグネシウム、カルシウムは血圧を下げる役割をしますので食事で十分摂取しましょう。
  5. 肉より魚を摂取する役割を増やしましょう。
Q2:塩分を減らしても美味しく食べられる調理の工夫を教えて下さい。

A2:一般的に普通の塩味よりも1/2以下にしてしまうと食べにくいので極端に塩味だけ減らさず、その他一緒に使う調味料も同じように減らすと食べやすいです。また味を控えた分、香辛料や酢やカボス、レモンなどで酸味を効かすとよいでしょう。 煮物や汁物はしっかりだしをとり、だしの旨みも十分利用しましょう。また、煮物など塩味が十分中まで浸透しているより外側に適度な味がついているほうが食べやすいです。 また、普通の醤油を使っている場合は減塩醤油に変えるか、もしくはだし割り醤油を作ってもらうともっと塩分摂取量が減ってきます。

だし割醤油の作り方

  1. 濃い目のかつおだしをとり、冷ましておく。
  2. 醤油とかつおだしを同量混合して容器に移す。

※冷蔵庫で一週間は保存可能です。

Q3:カリウム・マグネシウム・カルシウムを十分とるようにすすめられましたが、どの食品に含まれているか教えて下さい。

A3:カリウムは新鮮な野菜や果物や肉や魚に多く含まれています。またカルシウムも不足すると血圧を上昇させることになるので、牛乳、乳製品、小魚、大豆、豆腐、緑黄色野菜を過不足なく摂取しましょう。
また、マグネシウムは魚介類、かぼちゃの種、アーモンドなどの種実類に多く含まれます。

Q4:1日にどれぐらいの塩分をとっていいのですか?

A4:1日に健康な方でも10g/日、高血圧、高脂血症がある方は7g/日にすることが大切です。
日本人の1日の平均塩分摂取量は約10gくらいなので、なんの気なしに食べていたらそれくらいはいってしまうので気をつけましょう。もう一度自分の食生活をチェックしてみてください。

各食品の塩分含有量

醤油 小さじ1(5cc) 1g
アジの開き 2.4g
味噌汁一杯 約2g
たくあん 3切れ 2.1g
うどん 約5g
ソーセージ 1本 1.4g
ラーメン 約7g
かまぼこ 2切れ 1.3g

加工食品などは塩分含有量が多く、極力控えてください。また味噌汁やスープ類もだいたい一杯に2gの塩分と思っていただいて、1日に汁物も1回にするとぐっと塩分摂取量も減ってきます。またうどんやラーメンなどは必ず汁は飲みきらず、2口までにし、あとは残すようにしてください。

痛風

Q1:尿酸値が高いのですが、どのような事に気をつければよいですか?

A1:食事療法の要点をまとめました。次の点に注意してください。

  1. 標準体重であるかどうかもう一度確認して下さい。(標準体重の計算の仕方は『糖尿病-Q1』にあります。参考にして下さい。)肥満度と血清尿酸値との間には高度の相関があると言われています。肥満がある方はできるだけ適性体重に持っていくように減量してください。
  2. 尿酸前駆物質であるプリン体を極力控えます。
    食事から摂取するプリン体の量は体内の尿酸総量に比べて少ないので少々の食事制限では有効でないと言われる方もありますが、プリン体を多く摂取している方は普通の量より2~3倍も多くとっている場合があります。
    また尿酸は腎臓で尿中に排泄されますが、日本人の体質はこの処理能力が小さいと言われているので食事からの過剰摂取の影響はとても大きいのです。
  3. アルコールをできるだけ控えます。
    アルコールの中でも特にビールはプリン体含有量が非常に多いです。
  4. 水分を十分に摂ります。
    尿量が増加すると尿酸の排泄量が増加し、血中の尿酸濃度を低下させます。1日に1.5リットル以上の水を取るように心がけてください。水分摂取といってもビールやジュースでは逆効果です。あくまでも水かお茶です。
Q2:プリン体を多く含む食品を教えて下さい。

A2:えび、アジの干物、いわし、まがき、大豆(枝豆)、レバーなどが高プリン体含有食品と言われています。
その他に肉類は全般的に多く含まれていますが、ソーセージやハムやちくわなど加工されたものは比較的少ないです。また注意いただきたいのは、鶏ガラスープなどスープ類です。プリン体は親水性のため肉やガラを取り除いてもプリン体はしっかり溶け出ています。また酒の肴で白子やあんこう肝は控えめにしてください。

Q3:アルコールの取り過ぎはよくないと言われますが、どれ位が目安ですか?

A3:アルコール飲料はそれ自体に尿酸が含まれ、肝臓でプリン体の合成を促進させます。また、アルコールが体内で分解されアセトアルデヒドというものが作られますが、これが尿酸の排泄を妨げます。
さらに、利尿作用で脱水を起こしやすくなり、尿酸の腎臓からの排泄を抑制してしまいます。
これらのように飲酒は尿酸値が高い方にはおすすめできません。できるだけ少なくする努力をしましょう。

肥満

Q1:どうしたら痩せられますか?

A1:まずは自分の生活全般を見直してみてください。
いつも好きなものばかり食べていませんか?夜遅くに食べていませんか?
食事のかわりにお菓子やジュースをたくさん食べていませんか?
運動などはもってのほかですぐに自動車などを利用していませんか?
太るのは簡単なのですが、「減量」はとても難しいです。
しかし、もう一度生活習慣を見直して体をよく動かし、今の食事の量を減らし、栄養のバランスをとれば必ず減量できます。
しかし、お菓子やジュースなどを口にしたらなかなか痩せません。やはり「減量」には意思の強さも必要です。

Q2:摂取エネルギーを減らすためには食事でどんな工夫をしたらよいですか?

A2:まずは減量といっても基本は栄養のバランスはしっかりとることが大切です。五大栄養素、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、その他に食物繊維がきちんと取れているか確認して下さい。減量しなくてはいけないので油は一切無しや、肉や卵など一切無しで豆腐だけなど、極端なことはしないようにしましょう。
エネルギーを減らす調理の工夫をまとめてみました。

  1. 低エネルギー食品は必ず取り入れる。きのこ、海藻類、こんにゃくなど
  2. 同じ食品でもエネルギーの低い食品や部位を選ぶ。
  3. 糖質や脂質を多く含む食品は避ける。(特に砂糖は極力使用しないように)
  4. 調理方法を考える。加熱調理のうちゆでる、蒸す、焼く、電子レンジでの調理はあまりエネルギーを高めません。逆に炒める、揚げる、などはカロリーを上げてしまいます。
  5. 砂糖を使用する味付けは注意。(すき焼き、煮魚、佃煮、おすし)
Q3:糖質抜きや油抜きダイエットなどありますが、大丈夫ですか?

A3:ダイエットと言って、極端な食事制限は絶対にやめましょう。糖質抜きや油抜きダイエットといっても綺麗には決してやせられません。
体内の代謝はいろいろな栄養素がきちんとあって初めて円滑に行われます。
極端なダイエットをしていると、やせるどころか、微量栄養素などが欠乏し大変なことになります。
綺麗に痩せるためにはまず栄養バランスをとり、余分なものを食べないことです。